
日々の生活で支払いに使えるクレジットカードは、病院でも利用できるのでしょうか。皮膚科や内科、婦人科など、さまざまな病院で受診した際の費用をクレジットカードで支払えれば、手持ちのお金が少なくても気軽に診察してもらえます。
また、病院代もクレジットカード決済することができれば、家計管理の一括化に役立ちます。診療費や入院費など、どのような費用が毎月発生しているのかを見極めやすくなるでしょう。
今回は、病院におけるクレジットカードの利用可否や、病院側・利用者側のメリット・デメリット、よくある疑問・質問などについて解説していきます。
《TOPICS》
■病院でクレジットカードは使用できる?
■病院側がクレジットカードを導入するメリット・デメリット
■利用者が病院でクレジットカードを使用するメリット・デメリット
■病院でクレジットカードを使う際のよくある疑問
■病院での利用に向いているクレジットカードの特徴
■病院の会計でもクレジットカードを活用しましょう
■病院でクレジットカードは使用できる?
外来診察の費用は、医療機関によってはクレジットカード支払いに対応している場合があります。病院でのカード決済対応に関する情報や、使用できるクレジットカードの種類などについて解説します。
●一部の病院はクレジットカード払いに対応
一部の病院やクリニックなどの医療機関では、クレジットカード払いに対応しています。カード払いができるかどうかは、医療機関により異なります。医療機関を受診する前に、現金以外に利用できる決済方法についてWebサイトや窓口などで確認しておきましょう。
なかには「◯◯円以上の自由診療(保険外診療)で利用可能」といった形で、カード払いに条件を設けている医療機関もあります。自由診療とは、医療保険が適用されない、保険外診療の一種です。通常、風邪などの病気にかかって医療機関を受診する際は、保険診療となります。国民健康保険証などを窓口で提示すれば、診療費が3割負担になる仕組みです。検査や手術、療養指導なども、医師の診察の上で必要とされれば保険適用となります。
対して、自由診療の場合は医療費が全額自己負担となるため、窓口での支払い金額が大きくなる傾向にあります。そのため、医療機関が自由診療のクレジットカード払いに対応していると、患者が支払いをしやすくなるのです。
保険適用外となる治療の例としては、先進医療や人間ドック、美容医療などが挙げられます。医療機関によっては、自由診療と保険診療のどちらもカード払いが可能な場合もあります。病院やクリニックでクレジットカードを利用するときは、条件に当てはまることをご確認ください。
●病院におけるクレジットカード決済の普及状況
厚生労働省の2019年の調査では、病院(病床数20床以上)の49%でクレジットカード決済に対応していることがわかっています。病床数19床以下の診療所などではクレジットカード決済の普及状況は、16.5%にとどまっているようです。
クレジットカード決済に対応していれば、診療費や入院費に利用できるため、支払い方法として便利に活用できます。また、調剤薬局でもクレジットカード決済に対応していることがあります。
総合病院や大学病院など、大規模な病院はクレジットカード決済に対応しているケースが多いようです。これからキャッシュレス化が進んでいけば、病院側の普及率の増加が見込まれます。
クレジットカード決済以外にも、電子マネーやQRコード決済に対応している病院もあるようです。利用可能な決済方法は病院によって異なるため、支払窓口で確認してみましょう。
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●病院で利用できるクレジットカードの種類
病院で利用可能なクレジットカードとしては、大手の国際ブランドであれば使用できるケースが多いようです。具体的には、VISA、Mastercard、JCB、American Expressなどになります。
病院の受付や公式サイトなどでは、使用できるクレジットカードのロゴが表示されていることが多く見られます。どのクレジットカードに対応しているのか判断したいときは、ロゴが掲載されていないかチェックしてみましょう。
また、病院側が対応している国際ブランドであれば、デビットカードも利用できます。デビットカードとは後払いではなく、引き落とし口座から即時に引き落とされるカードのことです。
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■病院側がクレジットカードを導入するメリット・デメリット
医療費をクレジットカードで支払えるようにすれば、病院側には手数料がかかるなどのデメリットが発生します。もちろん、デメリットばかりが生じるわけではありません。クレジットカードが病院経営に有利に働くこともあります。こちらでは、クレジットカード払いを導入する場合の病院側のメリット・デメリットについて解説していきます。
●病院側のメリット
・患者が利用しやすくなる
クレジットカードを導入すると、患者さんの利便性が高まります。より多くの患者さんから便利に利用してもらえるようになれば、結果として病院やクリニックの来院者数増加につながるでしょう。また、昨今では日本を訪れる外国人観光客が多く見られます。海外ではキャッシュレス決済が普及しているため、訪日外国人が受診する場合に備えて、カード払いに対応する医療機関もあるようです。
・スタッフの負担が少なくなる
病院やクリニックがクレジットカード払いに対応すると、会計窓口で現金を管理する手間が少なくなります。現金を扱う機会が減ると、会計時のおつりの計算が不要となり、スタッフがお金を数え間違えるミスを抑えやすくなります。お札や小銭が少なければ、レジ締めの作業もスムーズにできるようになるでしょう。このように、病院で働くスタッフの負担が少なくなり、効率が高まるというメリットがあります。
また、一部の病院や調剤薬局では、患者自身が診療費・薬代を支払うクレジットカード対応の自動支払機を設置していることがあります。患者は音声案内にしたがい、タッチパネルで操作を行います。スタッフの業務負荷軽減やヒューマンエラー防止、人件費削減などの効果が期待できる点が大きな魅力です。クレジットカード決済と併せて導入しても良いでしょう。
●病院側のデメリット
クレジットカードを導入すれば、病院側はクレジットカード会社に利用手数料を支払う必要が生じます。少額の医療費でもクレジットカード決済ができるようになると、利用手数料の負担が大きくなってしまうのがデメリットのひとつです。
新規の患者を多く受け入れることができない小規模の病院では、利用手数料を負担してまで利用者を増やすメリットが少ないことも。またクレジットカード決済ができるようにするためには、設備導入の初期費用もかかります。導入費用や手数料などを加味してもメリットが大きい場合、クレジットカード決済を取り入れるようおすすめします。
■利用者が病院でクレジットカードを使用するメリット・デメリット
病院やクリニックでクレジットカードを使うと、利用者には多くのメリットが期待できます。カード払いに対応した医療機関を受診するなら、会計にてクレジットカード決済を選択してみてはいかがでしょうか?
●利用者のメリット
・手元に現金がなくても受診できる
たまたま手元に現金がないときに、急病で医療機関を受診する可能性があります。そんなときクレジットカード払いができれば、お金を引き出すために銀行の店舗やATMへ行く必要がありません。深夜や休日で現金を引き出せない場合でも、高額な医療費の支払いに対応しやすくなります。
また、クレジットカードは24時間利用可能な利点もあります。深夜に救急窓口を受診し、手持ちに現金がない場合もクレジットカードがあると便利です。医療費は後払いできるほか、分割払いなどの支払い方法も用意されています。高額な医療費にも対応しやすくなるでしょう。
・衛生上のリスクを回避できる
現金の紙幣や硬貨は、不特定多数の人が触るため、雑菌が付着しているおそれがあります。このような理由から、現金払いは衛生上のリスクが懸念されているのです。現金を使用しないキャッシュレス決済を選択すれば、紙幣や硬貨に触る機会が減り、より衛生的に支払いができます。
・会計の待ち時間を短縮できる
クレジットカードを使用すると、会計時に現金を数えたり、おつりを受け取ったりする手間を省けます。こうして多くの患者さんがカード払いにすれば、会計の待ち時間の短縮につながるでしょう。体調不良のときに医療機関を受診する負担が少なくなります。
・医療費の支払いをまとめて管理できる
医療費をカード払いにすれば、クレジットカード会社への支払い日に、ほかの固定費と併せて一括で払えます。医療機関へ行くたびにお金を用意する必要がありません。また、支払い状況はカードの利用明細で確認できるため、毎月の医療費を把握しやすくなる点も安心です。
・ポイントが貯まる
医療費の支出は、高額となる場合があります。そんなとき、支払い額に応じてポイントを貯められるのが、クレジットカードを利用するメリットのひとつです。ポイントを貯めるための還元率は、クレジットカードにより異なります。
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●利用者のデメリット
デメリットとして考えられるのは、分割払いやリボ払いを利用した場合の金利手数料です。分割払いやリボ払いを行うと金利手数料が上乗せされるため、実際の医療費よりも多く支払うことになります。ただし、一回払いを利用者が選択すれば、負担する手数料などは発生しません。
■病院でクレジットカードを使う際の気になる疑問
病院やクリニックでクレジットカードを使うとき、よくある質問・疑問とその回答をご紹介します。医療機関での支払いに利用する前に、あらかじめ疑問や心配なことを解消しておきましょう。
●医療費控除を受けられる?
クレジットカードでの支払いも、医療費控除の対象になります。ただし、カードの分割払いやリボ払いの金利など、医療機関に支払った金額以外は控除の対象外であるためご注意ください。
また、カード払いを選択したため医療費の領収書を受け取っていない場合は、別途支払い先や金額を証明できる書類を提出する必要があります。年末調整や確定申告の際は、忘れずに申請しましょう。申告する金額は、税込の額を記載することが基本です。
●入院費用や薬代の支払いにもクレジットカードを利用できる?
クレジットカードを利用できる病院や調剤薬局は増えており、対応している施設であれば利用可能です。クレジットカードの利用可否については、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
●医療費が限度額を超える場合はどうする?
医療費がクレジットカードの限度額を超えるとき、一時的に限度額の増枠を申請する方法があります。ただし、審査の結果によっては増枠ができない場合があります。
●クレジットカード付帯の国内・海外旅行傷害保険はどう使う?
旅行期間中のケガや病気によって、医師の治療を受けた場合には費用を請求できます。その場では一度立て替えておき、領収書や診断書をもらっておきましょう。
診療費以外にも、薬代や交通費が発生しているなら、そういった費用も請求できます。ただし、条件はクレジットカード会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
■病院での利用に向いているクレジットカードの特徴
病院の支払いには、どういったクレジットカードが適しているのでしょうか。お得に使えるクレジットカードの条件について確かめておきましょう。
●基本還元率が高い
基本還元率とは、どこで利用しても得られるポイント還元率のことです。クレジットカードによっては、特定の店舗やネットショップなどに限定して高いポイント還元率を設定していることがあります。基本還元率が高ければ、幅広いシーンで高いポイントを獲得できることが魅力です。
基本還元率が1%以上あれば、高還元率のカードといえます。これからカードを契約するなら、基本還元率1%以上のものを選ぶと良いでしょう。特に、医療費は比較的高額な料金となるため、ポイント還元率が高くなるほどお得です。
●医療・健康関連の付帯サービスがある
一部のステータスカードには、健康相談サービスが付帯しています。ステータスカードとは、クレジットカード会社の厳しい基準に合う人だけが利用できるカードのことです。一般的には、ゴールドカードやプラチナカードと呼ばれています。厳正な入会審査をくぐりぬけた人のみが得られることから、所有しているだけで社会的信頼が高いことを示せます。年会費が高額なケースが多いものの、特典サービスが充実している点も特徴です。
健康相談サービスの内容はカード会社によって異なります。24時間対応の医療・健康・介護相談、人間ドック・脳ドック・がん検診などの割引、医療機関・介護施設・老人ホームの情報提供など多様です。付帯サービスを有効活用して、健康管理や治療などに役立てましょう。
●非接触決済に対応している
一部のクレジットカードは非接触の決済にも対応しています。カードをレジ担当者に渡したり、決済端末で暗証番号を押したりせずに済むため、店舗側、利用者側ともに衛生状態を保ちやすいと言えます。また、スムーズに決済できるシステムのため、店舗の従業員との対面時間が短くなり、感染症リスクの軽減にもつながります。
⇒クレジットカードの支払い方法について詳しく知りたい方はこちら
■病院の会計でもクレジットカードを活用しましょう
病院やクリニックでのお支払いにクレジットカードを使うための情報をご紹介しました。カード払いに対応している医療機関は各地に所在し、利用可能なブランドも多彩です。ただし、導入状況は病院やクリニックにより異なるため、利用する場合は事前に支払い方法について確認しておくと安心です。