LINE PAY

導入事例

避難所の受付は13秒で完了!LINEを活用した、岩手県避難者把握デジタル実証実験の事例

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岩手県の概要
人口:1,172,349人(令和6年1月1日現在)
住所:〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10番1号
岩手県Webページより
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東北地方に位置し、広大な自然と豊かな歴史が特徴の地域です。山岳地帯や海岸線が広がり、特に岩手山や三陸海岸の美しい景観が有名です。農業が盛んで、米や野菜、リンゴなどが生産されています。また、温泉地としても知られ、花巻温泉などが観光地として人気です。平安時代末期、奥州藤原氏が築いた平泉は、文化と経済が栄えた中心地として栄えました。中尊寺や毛越寺などの世界遺産は、当時の繁栄を今に伝えています。また、源義経が兄・頼朝から逃れ、この地で一時身を寄せたことで知られ、彼にまつわる伝説が数多く残っています。
そんな岩手県では、LINEを活用した避難者把握の実証実験が行われました。



――取り組みの概要

岩手県は、土砂災害や大地震など大規模な災害時の対応力強化のため、避難者の受付業務や、自宅や車の中などの避難所外避難者の把握業務などに、LINEを活用する「岩手県避難者把握デジタル実証実験」を行いました。避難者はもちろん、少ない数で避難所運営を行う職員の負担を軽減する取り組みです。
この実証実験は2回に分けて行われ、1回目は令和6年9月18日に沿岸部に位置する久慈市、2回目は11月10日に内陸の遠野市で実施しました。



――実証実験の流れ

1.LINE公式アカウントにて事前登録

避難者役の参加者は事前に、岩手県LINE公式アカウントにてご自身の情報を登録します。登録項目には、名前・住所・生年月日・性別が含まれるため、LINE Pay 公的個人認証サービスを活用することで、手入力する手間が省けます。
登録が完了するとQRコードが発行され、これで事前登録は完了です。

岩手県LINE公式アカウントで本人確認.png

2.避難所の受付でQRコードをかざす

生成されたQRコードを避難所施設の受付で提示します。職員はQRコードを読み取り、受付は完了です。
専用の読み取り機などは不要です。インターネットに接続しており、QRコードが読み取れる、スマートフォンなどのカメラ付きの機械で対応ができます。職員のスマートフォンでも対応できますので、緊急時でも利用しやすく低コストで準備ができます。

生成したQRコードを避難所受付で提示.png

3.事前登録が未済の場合も簡単に受付

事前の登録を行っていない場合は、避難所に掲示してあるQRコードを読み取り、デジタルチェックインを行い、その後にご自身の情報や状態を登録します。

事前登録を行っていない場合でも避難所で簡単受付.png

4.自宅や車の中などの避難所外避難者の把握

道路が崩落し避難できない人、ペットのために車の避難を選択する人など、避難所外の避難者の位置情報把握や支援ニーズの把握を行う訓練も行いました。
LINE公式アカウントの「避難情報を登録」から、自身の位置情報を送信することができ、職員はマップ上で報告された住民情報を確認することができます。

避難所以外にいる避難者の状況を把握.png

5.支援ニーズを報告した避難者にLINEでコンタクト

位置情報とあわせて、飲料水や食料など、何が不足しているか支援ニーズを報告することができます。報告をもとに職員はLINEでコンタクト、配給情報などを配信します。
対象地域や支援ニーズごとにセグメント配信が可能です。



――実証実験の結果(1回目実証実験結果)

実証実験では、紙による従来型の受付と、LINEを活用したデジタルチェックイン受付を行いました。 紙受付の場合、住民が避難所の受付で用紙に記入した後、職員がその情報を基にパソコンへ入力し、避難者名簿を作成します。避難所に出向いて、待って、書く、という手間で、受付に4分48秒/世帯 かかりましたが、デジタルチェックインであればわずか13秒/世帯 で完了しました。

いままでとこれから.png

また、LINEを活用することで避難所外避難者の把握ができるようになりました。LINE公式アカウントより、避難所にチェックインしていない住民に対しPUSH通知、報告を促すことで現状を把握。誰一人取り残すことなく、災害から住民を守ることができます。

避難所外避難者を把握するためにLINEを活用.png

一方、実証実験を通して見えた課題もあります。
事前登録が未済の場合は、受付のQRコードを読み取ることで自動チェックインができますが、その後の情報登録に5分42秒/世帯 と、紙の受付よりも長い時間を要しました。災害時の限られた人員体制でサポートの負担を減らすため、入力項目や運営の見直しが課題となります。



――まとめ

避難所の受付をスムーズに行うため、LINE公式アカウントにて事前登録を行い、受付用QRコードを発行するデジタルログインは、紙受付と比べて受付時間を15分の1に短縮することができました。
住民の負担はもちろん、限られた人員の中で運営する職員の負担の削減にも繋がります。
今回の実証実験で分かった課題を解消し、「岩手モデル」として令和8年以降の社会実装を目指します。



――ありがとうございました



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